2012年4月29日日曜日

トロッタ15日記.120428

ここ数日は、トロッタの準備と、小説の執筆、締め切り原稿の執筆が中心。もっとトロッタの練習をしたいと思いながら、こればかりは皆さんのスケジュールが合わないと、どうにもならない。 【4月24日(火)】締め切り原稿を出した後、ぎりぎりで、ピアニスト、岡部由美子さんらによるピアノ三重奏の演奏会を聴きに、横浜のみなとみらい小ホールへ。ヴァイオリンは松実健太、チェロは小川剛一郎の各氏。ベートーヴェン、トゥリーナ、ダンディによる3曲。純粋に、音楽として聴かせていただく。岡部さんらの演奏会「プリマヴェーラ・コンサート」では、常に発想を得る。現在の『たびだち』に続く、アンコール曲『めぐりあい』を演奏しようと思ったのも、「プリマヴェーラ」で。この演奏会は、田中修一氏と並んで音楽を聴くという、めったにない機会となっている。横浜へ向かう電車で、隣に立つ人が日本経済新聞一面を読んでおり、私に向いた最終面の連載「私の履歴書」が、蜷川幸雄編であることを発見。読みたいと思う。図書館へ? その時間がないのだが。

【4月25日(水)】レッスン。ロルカの「可愛い巡礼」。うまく歌えないことは変わらず。この曲が長いことも理由だが、従来の3曲を改めて2曲とし、日本語の歌詩を朗読しようと思う。その方が、お客さんの苦痛が減り、かつわかりやすいだろうと思う。五味康祐の『いい音 いい音楽』が中公文庫に入っているのを見つけて購入。続いて、五味作品『二人の武蔵』が入った新人物往来社編「歴史文学全集 第15巻」を500円で購入。なぜ、五味康祐が気になるのか。他人だし、彼にある“虚無”“虚構性”“屈折”などは、むしろ避けたいと思っているほどで、気にしなくてもいいではないかと思うのだが、駄目だ。否定し切れない。私自身に、共通するものがあるのか(この日以降、数日にわたって五味康祐の作品を購入しているが、これは五味康祐についての原稿企画を雑誌編集部に提出しているため。まだ採用されていないが、五味康祐について考えなければいけない。それは表向きの理由で、自分が考えたいから)。

【4月26日(木)】ちよだ文学賞に応募するための小説を書いている。早く終わらせなくてはトロッタに全力を傾注できない。だが、これを書かなければ後悔するだろう。この小説は、変わったスタイルをとっている。奇をてらったわけではないが、今の私はこのようにしか書けない。それが理由で落ちても、悔いはない。何にせよ、原稿を書くこととトロッタをする、相いれないものの並立が課題。小説は30日(月)消印有効で提出するから、もう長くはない。やっと早稲田奉仕園に行き、チラシを置かせてもらった。本番に向けて、気になることの確認。東京音大の民族音楽研究所に行き、私が『音楽家の誕生』のために集めた資料の中から、石井漠振付『人間釈迦』の資料を探す。伊福部昭先生の『交響頌偈 釈迦』について、甲田潤氏に依頼された原稿を書くため。しかし、なぜか『釈迦』の資料だけが完全にない。五味康祐の『風流使者』と『喪神』が入った、河出書房版「国民の文学 第22巻」を500円で購入。

【4月27日(金)】誕生日。Facebook、Twitterで祝いの言葉をちょうだいするが、返信の仕方が身についていない(あるいは、わからない)ので、失礼をしている。お詫びします。WEB版FIGAROの書評のため、小川洋子の『原稿零枚日記』について書き始めるが、書けない。わかっていない。結論がすぐ出てしまって、深まっていかない。そうこうするうち、書評のため購入した本の請求書に間違いがあったので作り直してほしいとの依頼が来る。原稿以外のことで気をつかうこと多し。夜は上石神井にて、宮﨑文香さんの『宇宙でなくした恋』の合わせ。宮﨑さんの尺八、小野裕子さんの箏と。五味康祐の『柳生武芸帖』全篇が入った、番町書房版「日本伝奇名作全集 第22巻」届く。本当にこの一冊に、単行本7巻に及ぶ『柳生武芸帖』が入っているのか。稲垣浩監督による映画『柳生武芸帖』は二作あるが、どちらも音楽は伊福部先生が書いた。一作目の脚本は木村武(馬渕薫)。五味、伊福部、馬渕。考えなければならぬ人々。

【4月28日(土)】清道洋一さんが作ってくれた、今井重幸先生『狂想的変容《プロメテの火》初演の思い出に』の参考音源を、小倉藍歌さんが在籍する日本女子体育大学に届ける。舞踊監修の坂本秀子先生によると、偶然にも、今日が練習日だという。間に合った、という思い。トロッタの練習日を調整。これはけっこう疲れる作業。五味康祐の『麻薬3号』や『指さしていう』などが入った、集英社版「新日本文学全集 第15巻」届く。ここにあげた二篇には、陰惨な趣がある。それだけ五味の心に傷があったということだろうが。その傷にひかれるのか? 『エクソシスト』は好きな映画だが、オカルトには関心がない。そこに登場する、母親の介護と、悪魔祓いの間で悩める日常を送るカラス神父の姿、その描き方に共感している。私に似るものを感じる。五味康祐作品への関心をぬぐえないのも、似たような理由か。小説を書き続ける。約80枚に達している。上限の120枚よりは少ないが、枚数に不足感はない。

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