2009年6月29日月曜日

楽器が決まってきました

TOROTTA9に御出演いただく方々が、ほぼ決まってきました。以下が、現状です。コントラバスが入るかもしれません。また打楽器は必要ですが、人が決まっていません。詩唱は私ですが、語り(男声)は、私ではありません。数字を入れた括弧は、人数です。

ソプラノ
ヴォーカル(アルト)
ヴァイオリン(2)
ヴィオラ
チェロ
フルート
クラリネット
オーボエ
ファゴット
バンドネオン
打楽器
ピアノ(3)
エレクトーン
詩唱
語り(男声)
花生け

個人的には、できるだけたくさんの音を、つまり声を、聴きたいと思っています。音楽の世界も広がるでしょう。その一方、例えば詩唱者として、ひとりでも、たくさんの声を、つまり音を発しなければいけないのでは? という思いがあります。
チラシの準備も、すでに始めています。チラシに載せる文字の情報は確定していません。しかし、小松史明さんによるチラシの絵は、構想を立てていただいています。チラシを、できるだけ早く完成させ、宣伝したいからです。

2009年6月27日土曜日

田中隆司「歌曲に託す心の世界」

田中隆司さんのリサイタル「歌曲に託す心の世界」が、銀座 王子ホールで行われました。演奏された歌は、全10曲。立原道造、三好達治、上田敏、塚本邦雄、柳田國男、萩原朔太郎、堀内幸枝、サトウハチロー、そして御本人の田中隆司。これらの方々の詩が用いられました。

私の心は、TOROTTA9に向かっています。新しい詩を完成させなければいけないと、常に下書きを持ち歩いています。ほぼ、完成に近づいていますが、あと少し、時間をほしいと思います。しかし、時間だけあっても、詩はできません。そうした、綱渡りのような心理を抱えて、足を運んだ演奏会でした。

田中さんは、できれば年末に開催したい、TOROTTA10に御参加の意向です。私の詩で、私が出演する曲を、作曲中です。他の演奏者も、ほぼ決定しています。当然ですが、そうしたことを前提に聴かせていただきました。何曲か、トロッタで演奏させていただきたい曲を聴いたのです。

他人事ではなかったということ。田中さんに、作曲途中の譜面を、少時、拝見させていただきました。すでに六稿か七稿に達していました。田中さんも、曲を抱えているわけです。芝居でいえば本読みですが、田中さんの口で、詩を詠んでいただきました。私の詩三篇を、自由に組み合わせて、一曲の詩にされました。つまり、曲は違いますが、今日の舞台に立っていた人と、私は同じ立場です。さらにいえば、用いるのは私の詩ですが、三篇をコラージュして、田中さんの世界になっています。詳しくは書きませんが、これは田中さんの自伝だと思いました。それだけ、詩人の作ではない、作曲家の作になっています。詩人よりも作曲家。その度合いは、今日のリサイタルで採り上げられた曲よりも、高まっています。詩人の世界はほとんどありません。それがまた、私はうれしいのです。どうぞ、御自由に料理してくださいと、私は常に思っています。

結果、批判的な気持ちはまったくなく、聴き終えました。刺戟されました。田中隆司さんの曲を演奏するのが、楽しみです。

上野雄次さん「はないけcafe」最終日


上野雄次さんの「はないけcafe」も最終日となりました。今日は、TOROTTA9のための詩を書いていたことと、打ち合わせがあったため、15時の花生けにはうかがえませんでした。18時前にメコノプシスに行き、15時の花と、花生けされた18時からの花を見ました。
昨日とは、花器が変りました。西荻窪のギャラリー「魯山」で上野さんが求めた、大嶌文彦さんの器です。花は鉄線、葉は薄です。これは15時の花です。続いて下は、18時の花です。白い花は、初日と同じもので、茗荷だとうかがいました。

ただ、写真は、夜も更けたBarタイムに撮ったものです。撮影条件を細かく設定すればいいのですが、明るいと、光が安定しませんでした。夜になって外光が入らず、室内の明りだけで撮ったものの方が、くっきり撮れています。ただ、残念なことに、葉の水分が不足気味です。難しいところです。

今夜のBarタイムをもって、「はないけcafe」はすべて終了しました。上野さん、お疲れ様でした。
昼間には、橘川琢さんが訪れ、ずっと、作曲をしていました。上野さんの力、花の力を得たかったのだそうです。
私は一昨日から、TOROTTA9で、橘川さんに作曲してもらうための詩を書いています。橘川さんの作曲ですが、これまでの詩歌曲とは、いささか趣の違う曲になる予定です。題は未定です。時折、「はないけcafe」で、ノートを広げていました。
「はないけcafe」で、上野さんは、場を創ることを目的にされたはずです。花のある場です。私も、場を創ることが好きです。トロッタは、そのつもりで行っています。
場には、いろいろな人が訪れます。訪れる人は、違えば違うほど、いいのだと思います。傾向が同じ人、似た人だけが来るのなら、場を創る意味はないと思います。
その中心に音楽があるか、花があるか、あるいは別の何かがあるか。作品作りとはまた違った興趣があります。

日曜日から続いた今回の催しもまた、詩にしたいと思っています。

2009年6月25日木曜日

上野雄次さん「はないけcafe」四日目


今日は15時の花生けに間に合うよう、訪れました。会場にあった花は、三日目、二度目の花生けをしたままの形です。やがて、花生けが始まり、上野さんは器から花を抜き、器そのものを変えました。器を変える場合、花は、基本的に前回のままです。しかし、鉄線が加えられました。紫が爽やかです。
ただ、全体が捉えられていません。枯れ木が大きく枝を広げているからです。カメラの機能に限界があります。肉眼にまさるものはありません。

会場といいますか、舞台の他にも、そこここに、上野さんは花を生けています。まず、これは階段に置かれていたもの。水引草を、ホルマリン容器に挿しています。
こちらは、入り口の下駄箱の上に置かれていた花です。立葵に、虎の尾、くずりを合わせています。全体が青いのですが、天井の光が、もともと、青みがかった蛍光灯なのです。
帰りがけに思いました、「詩の通信III」は、あと二回で終わります。約一か月先には「詩の通信IV」が始まります。今度は、一年を通じて“花物語り”を書いていこうと思います。そのために、上野さんの花を見続ける今回の体験は、貴重なものです。そのつもりで足を運んでいたのではありません。結果です。

2009年6月24日水曜日

上野雄次さん「はないけcafe」三日目

上野雄次さんの「はないけcafe」三日目です。今日は、花生けを見ようとして、18時直前に行きました。毎日、15時と18時に、花生けを行います。連日2度の花生けを行うということで、五日間ありますから、すべて通えば、10態の花を見ることができるのです。花器が変更されていました。白い布に針金を通し、どのような形にもできるよう、工夫されていました。そこに、葛(かずら)の花と、あざみの花が生けられていました。これは15時の会に創った形ということです。花器は前回を受け継いで花を変え、次回は花はそのままにして花器を変え、という具合に続く趣向です。

18時に花生けが始りました。大きな枯れ枝を取り出し、上野さんは懸命に生けていきます。お客さんは5、6名でした。多くはありませんが、その一挙手一投足を見られています。瞬間瞬間に、上野さんの感性が問われます。考えていたことは、この上野さんの感性を、次回のTOROTTA9に、どう生かすかです。もちろん、参加していただきたいと思います。彼は単なるゲストではありません。ゲストでも、トロッタにとっては大事な存在ですが、TOROTTA7とTOROTTA8で共演し、橘川琢氏の『花の記憶』初演舞台で御一緒し、やはり橘川氏の個展「花の嵐」でも共演しました。四回も同じ舞台を踏んでいます。8月2日(日)には、名古屋のしらかわホールで、『花の嵐』の三演目の舞台があります。上野さんと、より高い次元で、同じ舞台を創っていきたいと思いました。
およそ30分をかけて、今日2度目の花生けは終わりました。花器の形は変りました。葛とあざみに、すぐりの実と、丘虎の尾の白い花が加わりました。
上野さんの手になる飲食のメニューも、この日、完成していました。花のある空間で、花生けをする上野さん本人の手で、飲物と食事が振る舞われる。何と贅沢な場かと思います。

2009年6月23日火曜日

上野雄次さん「はないけcafe」二日目

上野雄次さんがメコノプシスで行っている「はないけcafe」の二日目です。
器は、昨日と同じ、青木亮さんのもので、今日の花は、ななかまどです。
15時半くらいにうかがったのですが、ちょうど、花生けが終了したところでした。cafeタイムは15時と18時に所作があるとわかっていたのですが、間に合いませんでした。

私は、その方面に疎いので知らなかったのですが、器をお創りになった青木亮さんは、1953年生まれの方ですが、すでに亡くなっておられました。器は、上野さんがお持ちのものです。青木さんの命日は、2005年6月4日です。青木さんの器を使うことについては、上野さんに特別な思いがあろうと想像します。軽々しくはいいませんが、死者との対話、というお心も、あるのではないでしょうか。

メコノプシスに行く前、成城で行われていた、伊福部玲さんの陶芸展にうかがいました。そこで、小さな壺を求めました。お父上の、伊福部昭氏の魂がまつられている、宇倍神社の土でお創りになったものだそうです。
その壺を上野さんに見てもらいましたら、玲さんを存じ上げている、という話になりました。まだお目にかかったことはないのですが、岡山のギャラリーを介して、案内状を送りあっているのだそうです。先日のTOROTTA8にも、玲さんには足を運んでいただく予定でした。御都合が悪く、当日になって来られなくなったのですが、それさえなければ、上野さんと玲さんが、初めてまみえる機会になったのでした。これもまた、縁であろうと思います。

2009年6月22日月曜日

上野雄次さん「はないけcafe」

昨夜、ライブが行われた千駄ケ谷のメコノプシスにて、上野雄次さんの「はないけcafe」が始りました。今夜は、青木亮さんの割れた器に、白い花を生けていました。メコノプシスの階段下に、自然に生えていた花です。黒く塗られた朽木が見えますが、これはTOROTTA8にて、橘川琢さんの『異人の花』に用いられた花材です。グランドピアノの上に置かれた朽木が、このように、時間と形を変えて用いられていたわけです。

この他、上野さんの、これまでの花生けのライヴを壁面に映写するなど、きわめて刺激的な企画です。上野さん自身が亭主となり、来場者にお酒や食べ物を振る舞ってくれます。心を動かされました。

夏至祭が終わりました


上野雄次さんが、千駄ケ谷のメコノプシスで行われた夏至祭で、花生けを行いました。共演は、チェロのBenshaman氏。写真は、花の、最後の形です。まっ赤な薔薇の花びらが、透明のテープに貼り付けられ、それが折りたたまれて焼かれた上に、電球が添えられています。
上野さんは、二階にある会場から街路に飛び降りるなど、いつもどおりの過激さでした。しかし、過激さだけを、私は評価しているわけではありません。美しさ、その基準はさまざまですが、究められた美しさこそ、上野さんの持ち味だと思います。

上野さんは、6月22日(月)から26日(金)まで、メコノプシスをCAFE & BARとし、「静ノ花」を披露します。パフォーマンスとしての“動ノ花”ではない、生けられた花を見ていただくのだそうです。さらに、7月からは、メコノプシスにて月2回、「上野雄次 はないけ教室」を開校するそうです。詳細は、上野雄次さんおよびメコノプシスのサイトを御覧ください。

2009年6月21日日曜日

演奏会のことなど

昨日は、笠原千恵美さんの歌を、西荻窪の奇聞屋で聴きました。
1週間前の6月13日(土)には、甲田潤さんが合唱指導するコール・ジューンの歌を、四谷区民ホールで聴きました。

笠原さんの歌は、トロッタの舞台とは違う、こちらが本領のシャンソンです。笑みを絶やさず、歌いました。女性としての力にみちていました。クラシックもシャンソンも、歌に変りはありません。歌に、というより、歌の心に、というべきでしょうか。笠原さんの魅力が、トロッタでも生きるようにしたいと思いました。
TOROTTA9では、今井重幸氏のシャンソンを3曲、歌う予定です。編曲をしますので、そのための準備を始めています。7月に入ったら、笠原さんに実際に歌っていただき、編曲の方針を決めます。

コール・ジューンの方々には、私はずっと、トロッタに出ていただきたいと思っているのです。ソロの歌とは違った魅力が、合唱にはあります。以前、すみだトリフォニー小ホールで行われたコール・ジューンの演奏会で、中山晋平作曲、野口雨情の詩による「雨降りお月さん」を聴いた時には、自然な涙が流れました。合唱が、トロッタの舞台で披露されれば、どんなによいか。しかし、皆さんの意向がありますので、難しいでしょうか。
そのような気持ちであることは書いておきます。書いておけば、いつの日にか、実現するかもしれません。

2009年6月20日土曜日

谷間にいます

TOROTTA8が終わり、TOROTTA9に向かっている今は、気持ちが谷底にあって、不安定です。この不安定なところ、カオスの状態から作品が生まれるので、敢えて引き受けなければなりません。詩を何篇か、構想しています。TOROTTA9のために、これが音楽になればいいと思う詩もありますが、心にある詩、四篇は、いずれも何のために、どう用いられるかわからないものです。
作曲家と打ち合わせをし、演奏家と打ち合わせをしています。関係者の演奏会にも顔を出しています。TOROTTA9の会場であるエレクトーンシティ渋谷の方とも打ち合わせます。誰もが手探りです。どのような形になるのか、今は可能性を最大限に広げ、可能なこと、不可能なことを探っていきたいと思います。
9月27日(日)のTOROTTA9は、14時ではなく、15時開演といたします。エレクトーンが入ること、準備や練習に少しでも余裕を持たせたいことなどが理由です。開演時間を決める一事にしても、いろいろと考えます。これもまた、手探りです。

笠原千恵美さんのライブ

本日6月20日(土)は、笠原千恵美さんが、14時30分開演にて、西荻窪の奇聞屋でライブを行います。前回は私も出演させていただきました、「奇聞屋さんの午後のすてきなコンサート」です。笠原さんは、TOROTTA9から、今井重幸氏が作曲されたシャンソンのための曲を、シリーズ化して歌う予定です。一回につき、3曲ほどになるでしょうか。シャンソンの曲ですが、トロッタで行うので、トロッタらしく、ヴァイオリンやチェロ、フルートなどを入れ、今井氏ではない作曲家が編曲することになっています。詳細は、追って御報告します。お楽しみに。

2009年6月17日水曜日

上野雄次さんのお知らせ

花道家、上野雄次さんよりお知らせをいただきました。
昨年の冬至祭は、力強い催しでした。それに続く夏至祭、さらに「はないけ」cafeという、興味深い催しです。お時間がありましたら、お運びください。ここに掲げた写真は、冬至祭の時のものです。

*上野雄次さんより
●夏至祭へのお誘い

夏至。
太陽の高度が一番高くなる日。極点を過ぎ、そしてまた次の極点へ。もっとも長い昼の暮れ。その暮れをやり越すために用意された酒と食。そして。もっとも遅い日の入り少し前、上野雄次の花生けと、Benshamanのチェロ演奏が始まります。すべては過ぎ行くその極点のなごりを心行くまで堪能するために。皆様是非メコノプシスへお越し下さい。

料金: ¥1,000

日程:6/21(日曜日)

開場:17:00
パフォーマンス開始は18:30から19:00の間を予定しています。

場所:メコノプシス
渋谷区神宮前2-13-2-2F

アクセス:JR原宿・千駄ヶ谷、地下鉄外苑前・北参道・明治神宮前・国立競技場前。いずれも徒歩12分程度。

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●「はないけ」-Cafe OPEN

梅雨空のもと、5日間限定のCAFEをOPEN致します。

テーマは「静の花」。

ライブパフォーマンス等でご覧頂いている「動の花」ではなく、ただいけられた花を見て頂く場です。
私、上野雄次がCAFEの亭主となり、お客様をお迎えします。
CAFEタイムに、1日2度15:00と18:00にデモンストレーションで「はないけ」します。
BARタイムは、はないけのライブ映像を流す予定。

日程:6/22(月)〜26(金)

時間:CAFE-13:00〜19:00
BAR−19:00〜24:00
(22月はBAR、24水はCAFEのみの営業になります)

場所:メコノプシス
渋谷区神宮前2-13-2 2F

主催:上野雄次

アクセス:JR原宿・千駄ヶ谷、地下鉄外苑前・北参道・明治神宮前・国立競技場前。いずれも徒歩12分程度。
是非、花を見に、お茶しに、お酒を飲みにいらして下さい。お待ちしてます。

※追伸
来月よりメコノプシスにて「はないけ教室」を始動します、毎月2回土曜日開校予定。
改めて告知致します。

2009年6月16日火曜日

「レッスンの友」に紹介されました

ピアノ音楽誌「レッスンの友」トピックス欄に、トロッタが紹介されました。
TOROTTA8の前日練習を取材していただき、トロッタの趣旨を説明させていただきました。つい2週間前のことなので、このタイミングで掲載されるとは思っていませんでした。東京芸術劇場の中リハーサル室で、今井重幸先生の『仮面の舞』、清道洋一氏の『蛇』の練習をしている写真も載っています。ありがたいことです。本屋でお手に取って御覧ください。

トロッタ9は9月27日(日)開催です

第9回「トロッタの会」を、9月27日(日)に開催しますことを、本日、お伝えします。会場は、先に申し上げましたとおり、ヤマハのエレクトーンシティ渋谷です。

2009年6月12日金曜日

「トロッタ通信vol.2」を発行します

2009年6月13日(土)付けで、「トロッタ通信」vol.2を発行します。先ほど、文章を作りまして、明日の午前中には、「座・高円寺」の道草カウンターに置く予定です。今号には、「トロッタ通信」vol.2に加えて、「《トロッタの会》全記録vol.1〜vol.8」を入れ、詩『美粒子』、詩集『光のある部屋』、詩『風乙女』を同封します。明日はこの内容で置きますが、今後、補充する際などに、変更する可能性があります。


「トロッタ通信」vol.2


 5月31日(日)、“詩と音楽を歌い、奏でる”第8回「トロッタの会(TOROTTA8)」が、無事に終了しました。御来場いただいたお客様方、この「トロッタ通信」やトロッタの公式サイト、ブログなどを通じてお心にとめていただきました皆様方、ありがとうございました。御入場者は107名と、これまでで最高の人数を記録しました。しかし、それでもまだ、会場であった新宿ハーモニックホールを満員にできませんでした。私どもは、秋に開催予定の第9回「トロッタの会(TOROTTA9)」に向け、すでに始動しています。より多くのお客様にお越しいただき、かつ、会の内容も充実させてまいる所存です。


「詩は、ただ黙読されるのではなく、声に出して詠まれるものでありたいと思います。詠みながら、自分の声にメロディやリズムを感じます。それは音楽に通じます。歌曲は、詩の音楽化です。まず詩があり、音楽が生まれます。楽器とともに詠み、歌われれば、音楽性もより高まるでしょう」(前号より)

 今号には、「《トロッタの会》vol.1~vol.8全記録」を収めています。会を運営してきた者でありながら、内容の多彩さを実感しています。“詩と音楽を歌い、奏でる”というテーマのもと、作曲者が、これだけの作品を出品し、演奏者が、これだけの作品を、よく演奏してきました。自己満足ではありません。満足などしていません。会が終るたびに反省をし、なお、こんなことができるのではないかと思い続けています。


 TOROTTA8について、お客様の声として最も多かったのは、いままでで一番よかった、というもの。細かな御指摘はありますが、その上で、一番の内容であったというのは、身に余るお言葉です。TOROTTA9でも、そのお言葉をちょうだいできるようにしなければなりません。その一方で、集客の問題は頭を去りません。ひとりのお客様でも、その方の時間とお金をいただくのですから、お呼びするのは苦心します。日ごろから、御連絡をし続けることでしょう。知りあいに限らず、見知らぬ方々にも。「トロッタ通信」を発行するのは、そこに大きな理由があります。


「トロッタ通信」をお読みいただきました皆様に、まずお礼を申し上げます。その上で、お願いがあります。以下にあります問い合せ先の住所とメールアドレスに、御感想などちょうだいできませんでしょうか。

 この「トロッタ通信」は、手探りで始めました。高円寺の新しい劇場、「座・高円寺」のスペースを活用し、見知らぬ方々に「トロッタの会」の存在を知っていただきたい、足を運んでもいただきたいとの思いからです。前号は、第八回「トロッタの会(TOROTTA8)」の前に発行したため、チラシを入れました。しかし、第九回(TOROTTA9)の開催は秋のことであり、同封できるチラシがありません。過去のチラシは、「トロッタの会」のサイトで確認できます。曲目や作曲者、演奏者のプロフィールもわかります。使われました詩も、掲げてあります。しかし今のところは、「トロッタ通信」に入れる、TOROTTA9の材料がありません。


 御連絡をいただきましたら、TOROTTA9の最新情報をお知らせします。おそらく、「トロッタ通信」は、偶然、お手に取っていただいたことでしょう。その偶然を、私は、必然と受けとめたいのです。もし、これきりに終わっても必然です。その上に、チラシをお送りでき、本番にお運びいただけるなら、最上の幸せです。「トロッタ通信」でお知らせするのは、「トロッタの会」についてだけではありません。トロッタの作曲者や演奏者に関係する演奏会のお知らせもできます。メールアドレスなどを教えていただければ、「トロッタ通信」のように、発行日が限定され、そのものを手にしなければならない紙の媒体と異なり、メールによって即時的なお知らせが可能となります。

 前号は5月17日(日)、今号は6月13日(土)の発行です。1か月に1回のペースで続けていくことになるでしょうか。「トロッタ通信」を順調に発行でき、「トロッタの会」のお知らせもできますように、皆様の御協力を賜りたく存じます。どうぞ、よろしくお願いいたします。


http://www.kibegraphy.com/(「トロッタの会」サイト)

http://torotta.blogspot.com/(「トロッタの会)」ブログ)

〒166-0001

東京都杉並区阿佐谷北1-6-8 佐藤方D号室

木部与巴仁 yohani@mac.com

6.13はターフェルムジーク鎌倉とコール・ジューンの演奏会

先ほど、甲田潤さんから電話をいただきました。知らなかったのですが、明日、甲田さんが合唱指導をしている女声合唱団「コール・ジューン」の演奏会があるそうです。「関係者活動情報」に加えましたが、四谷区民ホールにて、17時開演です。甲田さんが編曲をした、伊福部昭氏の歌曲『因幡万葉の歌』や、更科源蔵氏の詩によって甲田さんが作曲された『Cis Sinot Ca 涙の歌〜女声合唱とピアノのために〜』などが演奏されます。TOROTTA8では、山田令子さんのピアノ独奏で「日本組曲」が演奏されましたが、いずれは、更科源蔵氏の詩と伊福部昭氏の曲によります歌曲を取り上げたいと思っています。

また、これに先立ち、14時開演にて、オーボエの今西香菜子さんが客演する「ターフェルムジーク鎌倉 バッハ教会カンタータ連続演奏会」が開かれます。ターフェルムジーク鎌倉の演奏は聴いたことがありませんが、30年の歴史があるそうです。時間を積み上げてゆくのは、たいへんなことです。人の数だけ、人生があります。人とつきあうことは、人生とつきあうこと。人の数に30年を掛けるとなると、たいへんな歴史が刻まれていることになります。曲がまたバッハのものですから、それ自体に歴史があります。会場は、逗子文化プラザホール。お近くの方は、お運びください。

2009年6月9日火曜日

服部かつゆきさんの新作ビデオ上映

トロッタの記録映像を、第1回からずっと撮っていただいているのが、服部かつゆきさんと、そのお仲間です。トロッタ以前にも、『新宿に安土城が建つ』『サイレンシティ』でお世話になりました。特に『新宿に安土城が建つ』は、服部さんたちとのコラボレーションでした。また、デザインの小松史明さんは、『新宿に安土城が建つ』のチラシを作っていただいた縁で、服部さんに御紹介いただいたのです。いろいろなつながりがあり、トロッタは成り立っています。

そんな彼の、ビデオ・アーティストとしての活動を、来る6月14日(日)、東京日仏学院で行われる「オール・ピスト・ジャポン」にて、見ることができます。新作『モニター』を発表するというお知らせを、今朝、いただきました。
他の出品作品は、モニタで上映されるスタイルですが、服部さんの『モニター』だけがライヴ作品です。サイトを見ますと、6月12日(金)から15日(月)まで、東京日仏学院にて、「オール・ピスト」ビデオ・フェスティバルが開かれます。

私も、約30年前は、ビデオ・アーティストとしての側面がありました。何もわからないまま創っていたのでしたが。服部さんとも、そのころの活動があったから、今の交流があります。足を運んでみたいと思います。以下に、服部さんのメールにあったコメントを引用します。

(服部かつゆきさんより)
6月14日(日)東京日仏学院でひらかれるオール・ピスト・ジャポン。
その上映プログラム『マテリアル/技法の幻影』に、新作「モニター」をライブで発表します。

午後2時〜3時『マテリアル/技法の幻影』注目の上映作品は:
奥山順市「まぜるな」、太田曜「PILGR IMAGE of TIME」、石田 尚志「海の映画」、瀧 健太郎「Living in the Box -square-」、そして「モニター」私だけライヴです。
「モニター」は、絵をとらえるビデオカメラとそれをみるためのモニターの関係を逆しまにして、その関係から生まれるリズムをとらえる作品です。午後2時から3時までのプログラムのしんがりに10分くらいの小品です。プログラム前に隣接のラ・ブラスリーで昼食か、プログラム後に Le C@fé で一服を目当てにいらしていただければ幸いです。

2009年6月8日月曜日

上野雄次さんライブ映像公開

上野雄次さんのサイトで、新しい映像が公開されました。
2007年3月2日(金)、The Decisionで行われた、ジャズミュージシャン岡本紀彦さんとのコラボレーション「呼吸 第1部」の記録です。
「呼吸」とは、いいタイトルだと思います。花生けを生きる、上野雄次さんらしい命名です。

ところで、来る8月2日(日)、橘川琢さんの『花の記憶』を、名古屋で演奏します。今年で3度目となります、「しらかわホール〈名フィルの日〉」に出演するのです。
『花の記憶』といえば、2008年10月20日(月)、すみだトリフォニー小ホールにおける、日本音楽舞踊会議作曲部会演奏会の初演が忘れられません。続いて12月6日(土)には、TOROTTA7にて、ヴァイオリンを加えた改訂版を初演しました。名古屋が三度目の演奏ということになりますが、これまでにない大きな編成を予定しています。
名フィルから、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ファゴットの5名が出演。これに、ピアノ、ソプラノ、詩唱、花生けの4名が加わる、計9名の出演です。
詳細は、追ってお知らせします。名古屋周辺の方は、ぜひお越しください。

終演後の始末

精算などが、なかなか終わりません。さまざまな理由がありますが、終演後の始末というものは、それなりに手間のかかるもので、開演までの準備がたいへんなのは当然ですが、終演後もいろいろな作業があります。関係の皆さんと、ゆっくり語り合いたいと思いながら、わずかな人をのぞいて、それも思うにまかせない状況です。せめて、ブログの更新をし、これを意志疎通のひとつにしたいと思いつつ、個人的なことをいえば、たまった仕事を片づけるのに精いっぱいという状況です。

TOROTTA9を9月に行うと書きました。その方針は変りませんが、日程を調整中です。その結果次第では、会場の設定も含めて先送りになるかもしれず、目下の候補日より早めるかもしれません。これは後始末ではありませんが、始末と準備を同時に行っているので、なかなか順調にまいりません。TOROTTA9については、進展がありましたら、お知らせします。何とか、宣伝を早めに行い、集客の努力をしたいと思っています。

2009年6月5日金曜日

指揮台から見た「異人の花」

TOROTTA8で初演されました『異人の花』を、作曲者の橘川琢さんが報告します。
もともとは、上野雄次さんの花生けを、同じ舞台で演奏していたため、見ることのできなかった共演者への報告として、6月2日(火)に送られてきたメールでした。しかし、『異人の花』の記録としておもしろく、初演に接することのできなかった方々への報告にもなると思い、橘川さんの了解を得て、部分をここに掲載いたします。「私」は橘川琢さんです。

(前略)
舞台の上で演奏されていた皆様にはピアノの前で上野さんがどのように活けていらっしゃったか見られなかったかと思いますので、指揮台の上からの視点を僭越ですが少しだけお伝えいたします。

曲がはじまりしばらくして、上野さんはピアノの上にある黒い朽木とピアノの足、これを無数の赤い糸で結びはじめました。その所作は曲の大半、黙々と続きました。私の主観ですが、運命の糸が、もしくは風習や罪の意識や世間の目といったものの象徴のような糸が、女性を縛ってゆく姿に見えました。それが黒く巨大なピアノの上でがんじがらめになっていました。音楽に縛されるようでもありました。

それが嵐が去り心の平安と静謐が得られたとき、上野さんは縛り付けていた赤い糸を丁寧に切りはじめました。糸は全て切られ、集め、一片も残さずなくなりました。

そしてテーマ曲「わかれうた」が笠原さんと、モデルとなった祖母を亡くされた木部さんによって歌われるなか、赤黒い大きなダリアが二輪、黒い朽ち木に活けられました。物語中の、紅く濡れて咲く祖母の花、そしてピアノの黒を混ぜたような色でした。朽木から咲いた、想い出の形のようで、また、生を終えた人の美しい結晶のようでもありました。さらにその花に、小さな花が活けられ、ここで音楽と花活けの所作は終わり、上野さんはピアノの隅にしゃがみ、また静かに控えていらっしゃいました。

残響が消えて、ピアノの祭壇の上にある花。すべてが終わった静寂の中、お客様の気配からも、花に強い視線を注いでいるのが感じられました。後に必要なのは、手向けられた花、登場された女性への黙祷でした。下手な指揮でしたが、文字通り最期くらいは、なんとか静寂と黙祷の時間を作りました。

上記は、あくまでも私の主観です。あの場で初めて同時間に体験したきりです。事前に作曲者の作曲時の気持ちを全てお伝えした以外は、何のプランも話し合っても、お聞きしてもいません。もしかしたら私が勝手に色々深読みしているかもしれません。映像があがりましたら、ほんとうにこうであったか、上野さんに直接さらにお聞きしてみたいと思います。(ただ少しお聞きした限りでは、再演がある場合はまた違う表現を試みたいと、おっしゃっていました。)

音楽家は楽譜から物語の情報を得て読み解きます。しかし普段は楽譜とご縁のほとんど無い上野さんは、勿論詩からもそうですが、リハーサルの録音を本番寸前まで数十回聴きなおし、最後は特定パートを歌えるまでに覚え、音楽と物語に心を近づけて下さっていたそうです。

スコアの花道パート、みなさまご存知のように指示も音符も書き込んでありません。今回は完全に上野さんの意志と表現に委ねました。そして空白であった五線は、当日このようにして埋められ、残響後の黙祷をもって曲は完成しました。
上記を皆様にご報告いたしますことで、初演版楽譜の本当の完成とさせてください。

そして……木部さまのお祖母様のご冥福を慎んでお祈りいたします。

2009年6月4日木曜日

「トロッタ通信」のこと

昨日、座・高円寺から電話をもらい、道草カウンターに置いてある「トロッタ通信」がなくなった、ということです。また追加しなければいけません。無料で作成しているので、有料にするわけではありませんが、配布の仕方を考え直すべきかもしれません。チラシ一枚にしてもお金がかかっているわけですし、ましてや封筒に数種類の詩を入れて、不特定多数の人の目につくところに置いてあるので、興味から持っていっていただける方が少なくないことは、予想できます。ありがたいことですが、負担に感じるようですと、長続きしません。
いずれにせよ、TOROTTA8は終わったので、チラシはもう入れません。中身を更新しなければならないでしょう。考えられることは、TOROTTA8の当日プログラムとか、TOROTTA1以降の全記録、とか。「トロッタ通信」は、第2号にします。

問題は、「トロッタ通信」に限りません。宣伝をどうするかという問題です。「トロッタ通信」は、もちろん、宣伝のために作りました。これ自体が独立するメディアになるとしても、「トロッタの会」の宣伝、具体的にはTOROTTA9に向けての動きをお知らせするものにしたいと思います。
笑われるかもしれませんが、近い将来の目標に、収容人数300人の会場で開催する、というものがあります。上野の旧東京音楽学校奏楽堂が、この広さです。旧奏楽堂は、いい会場ですが、古いせいで、ホールに達するのに、急な階段しか使えないことが、お客様には申し訳ないと思います。階段しかないといえば、次回に予定しているエレクトーンシティ渋谷も、3Fのホールまで、階段でしか上がれません。先日の新宿ハーモニックホールも、地下2Fまで階段でした。杖をついて入場してくださるお客様を見ると、申し訳ないと思います。かといって、どこでも開けるわけではなし。難しいことです。

2009年6月3日水曜日

伊福部玲さんの陶展が開催されます

TOROTTA8で山田令子さんが演奏した『日本組曲』。作曲者である伊福部昭先生の御長女、伊福部玲さんの陶展が、成城学園駅に近い、マザーグース ギャラリーで、6月18日(木)〜23日(火)まで開かれます。御都合が悪く、TOROTTA8にはお越しになれませんでしたが、常に「トロッタの会」を御支持いただいています。盛会をお祈りします。

本番が終わり、後片づけに追われています。目下、精算の最中です。畏れながら「トロッタの会」には招待券がありませんので、受付に残った半券の107枚は、有料入場者の数ということになります。ありがたいことです。これを整理して関係者に還元し、まっさらな状態で、次に向けて進もうと思います。次回公演のためにお金をプールしておく考えもありますが、それは目下、取る方針ではありません。先日の会場が満員になっても148席です。30人近い関係者がいましたから、入場料収入を人数分で割っても、たいした金額にはなりません。それならば潔く還元しようというのが、トロッタの方針です。助成金を得られればという考えがあり、それは確かにそうです。その道を探りたいと思いますが、創作と助成金探しはなかなか両立できず、大事なのは創作だからという気持ちで、後回しになってしまっています。いずれは解決したい問題です。

2009年6月2日火曜日

トロッタ9はエレクトーンシティ渋谷で行います

トロッタ9に向けて始動しました。
次回は、ヤマハのエレクトーンシティ渋谷で開催します。9月の開催をめどに、調整中です。昨日、エレクトーンシティを訪れ、打ち合わせをしてまいりました。日程の候補はありますが、最終決定ではありませんので、まだ書かずにおきます。
渋谷駅に近く、たいへんよい場所だと思います。
初めて電気楽器を取り入れて行うことになり、特に作曲家にとっては試行錯誤の面もあると思いますが、常に挑戦と思えば同じことなので、次回にも、これまでと変らない気持ちで向き合います。
このブログで、いろいろと御報告をしてまいります。
どうぞ、よろしくお願いします。

2009年6月1日月曜日

トロッタ8終了しました

細かい報告は、いずれさせていただくと思いますが、新宿ハーモニックホール公演が、無事に終了いたしました。お越しいただきましたお客様、ありがとうございました。
これからは、トロッタ9に向けて準備が始ります。その他にも、いくつか計画していることがあります。
どうぞ、よろしくお願いいたします。