2009年12月30日水曜日

「11へ」;5

トロッタ11の準備を、少しずつですが進めています。今年中には演奏曲を決めたいと思っていましたが、少々、無理な情勢です。しかし、年明け早々には最終決定しなければ間に合いません。

アンコール曲として、トロッタ6から演奏し、お客様と合唱してきました「めぐりあい」の、春篇を書きました。以下に掲げます。編曲は、ギタリストの長谷部二郎さんにお願いいたします。長谷部二郎さんは、私の、ギターの先生でもあり、私が詩を書いた『人形の夜』を、トロッタ11のために楽曲化してくださいます。


めぐりあい 春

木部与巴仁

流れる川がぬるむころ
わたしたちはめぐりあう

黒い土が
のぞいている
雪解け道を
駆けていた

流れる川がぬるむころ
わたしたちはめぐりあう

輝いてる きらきらと
春の日ざしに
目を細め
冷たい季節を
見送った

どこへ行くの?
わからない でも
私は生きられる
ありがとう
あなたの歌を聴いたから

2009年12月27日日曜日

「11へ」;4

昨日は、阿佐ヶ谷にて、バリトンの根岸一郎さん、ヴィオラの仁科拓也さん、ピアノの並木桂子さんと、トロッタ11の打ち合わせをしました。具体的に動いています。

この「11へ」も、年が明けましたら、「トロッタ通信11」を加えて書き続けてまいります。3月5日(金)本番ですから、それほど長い回数は書けません。前回の「トロッタ通信10」は、それなりに、考えを進めるのに役立ちました。書きっぱなしであり、まとめる必要がありますが、もちろん書かないより書いてよかったと思います。

一方で、ギターで何ができるか、日々、考えています。ギターを弾くのと語りを合わせ、これが私の詩唱であるという形を作りたいと思います。ギターを弾くのでもたいへんで、語りは語りで工夫がいります。このふたつを合わせることは、なかなか困難です。しかし、トロッタの試み自体が困難なことなので、その凝縮した形が手元にあると思えば納得できます。

2009年12月25日金曜日

「11へ」;3

トロッタ11の開催が、2010年3月5日(金)に決定しました。
会場は、新宿からひと駅、山手線・大久保駅、総武線・新大久保にいずれも近い、スタジオヴィルトゥオージです。
まだすべての曲目は確定していません。選定中ですが、これで、具体的なイメージを持って、動き出せます。

2009年12月10日木曜日

「11へ」;2

サイトの整理に着手したのですが、時々にしか行わないため、なかなか進みません。お恥ずかしい次第です。

うらわ美術館にて、開館10周年記念展「オブジェの方へ − 変貌する『本』の世界」を観てきました。トロッタ9が終了した直後、ある方の感想をうかがった後、青山界隈を歩いていまして、ふと立ち寄った古書店で、この展覧会のことを知りました。本の展覧会。それはただ珍しい本を並べてあるだけでなく、オブジェとしての本、造形物の展示会です。そこでは、本は本の形をとどめていません。読むための本ではなく、形を見るための本がありました。例えば遠藤利克の『敷物−焼かれた言葉−』(93)は、真っ黒に焼いた本にタールをしみこませ、約6メートル×3メートルの広さに積み重ね、敷き詰めたオブジェです。言葉は焼かれています。言葉は失われました。そこに人は、なお言葉を探すのでしょうか? いっそ、言葉が失われたことに、爽快感を覚えるのでしょうか?

この展覧会が、私に、あるいはトロッタに、何かをもたらすかといえば、それはわかりません。しかし、人は音楽だけで生きられるはずがなく、言葉だけで生きられるはずがなく、日常の積み重ね、記憶の断片、連なり、積み重ねが、詩と音楽を生むと思うから、このような展覧会にも、私は足を運びます。

帰路、吉祥寺の古本屋に寄りました。いつもトロッタのチラシを置かせていただいており、その御礼もかねて、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの自撰短編集『ボルヘスとわたし』を購入しました。田中修一さんに依頼され、『ムーブメント』の原詩、『乱譜』の続篇『瓦礫の王』を書きました。その時に、田中さんが、このような世界で、と提示されたのが、ボルヘスの『ブロディーの報告書』でした。個人的な好みは別として、田中さんもボルヘスを好んでことがわかり、おもしろいと思いました。

2009年12月9日水曜日

「11へ」;1

トロッタ10が、12月5日(土)、無事に終わりました。集客面では、いつものことですが、満足のゆくものとはなりませんでしたが、作曲者、出演者とも、力を振るって、10回目のトロッタを終わらせることができました。ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。

また、個人的なことではありますが、日本音楽舞踊会議 作曲部会公演「初冬のオルフェウス」にて、橘川琢さんの『冬の鳥』を初演いたしました。これも、無事に終わりました。トロッタとは異なり、この1曲に一日を費やしました。お聴きくださいました皆様、ありがとうございました。

明確な日程は決まっていませんが、私たちはトロッタ11に向かいます。本日は、サイトの整理を行いまして、いつでも、トロッタ11への準備を始められるようにいたします。いや、もうすでに、それは始まっています。

朝はギターと歌のレッスンでした。こうした一歩一歩の積み重ねがなければ、トロッタの幕は開きません。トロッタの準備に追われ、「詩の通信IV」第9号を発行できていません。反省しなければなりません。どれが優先的で、どれが後回しなどということはないはずです。

作曲家の方々宛て、トロッタ11のための作曲予定をうかがうメールを発送しました。少しでも早く、準備を始めようと思いました。

2009年12月4日金曜日

「トロッタ通信 10-25」

詩と音楽について、これまでいろいろと書き連ねてまいりました。

と、ここまで書いてストップしてしまったのが、トロッタ10、本番前日のことでした。今はもう12月9日(水)です。書けるだけ書きましたが、最後の締めくくりはできませんでした。締めくくりがトロッタの舞台です、というようなことを書こうと思ったのですが。

新たなテーマが浮かびました。詩唱を、いかにして、音楽の響きの中に生かすか。朗読であれば、音楽があろうとなかろうと、自由に発声していいと思います。涸れた声でも個性と受け止められます。PAを通してもいいでしょう。しかし、トロッタの舞台に立つ限りは、私は音楽として詩唱していますから、楽器の響きとともにありたいのです。技術として、どうすればいいか。これは大きな問題です。今後は、このテーマを含めて、書き続けていこうと思います。トロッタ11に向けて。

「10へ」;35

トロッタ10も、いよいよ明日の本番を残すのみとなりました。
9時、池袋芸術劇場・小リハーサル室の鍵を開けました。
10時、新宿ハーモニックホールで、ピアノの調律を開始。詩唱の黒田公祐さんと、舞台で動きをつけながら、『捨てたうた』の打ち合わせをしました。
12時、池袋芸術劇場に集まり、『時は静かに過ぎる』の、弦と打楽器中心の合わせ。続いて清道洋一さん『主題と変奏』の合わせ。
13時30分に池袋を出まして、荻窪へ。関係者は、スタジオクレモニアに集まってもらい、14時からシャンソン組曲の合わせ。
15時30分に『死の花』の合わせ。
17時から東京音大A100号室にて、『時は静かに』『捨てたうた』『めぐりあい』『午後の雨/蜚』『死の花』の合わせ。
全力を尽くしました。これでなお至らない点がたくさんありますが、それが実力です。
皆様、明日のトロッタ10、よろしくお願いいたします。

2009年12月2日水曜日

「トロッタ通信 10-24」

すぐに書きます。お待ちください。

「10へ」;34

9時からギターのレッスン、11時半から歌のレッスン。こうしたことは、私にとって、トロッタの基盤です。

14時から、早稲田奉仕園の音楽練習室で、清道洋一さんの『主題と変奏、或いはBGMの効用について』、今井重幸先生の『時は静かに過ぎる』の合わせを行いました。チェロの香月圭佑さんと久しぶりでお目にかかりました。

いったん帰宅し、髪を少し切り、仕事をほんの少しだけしました。
すぐ東京音大に向かいました。

18時から、田中隆司さんの『捨てたうた』、今井重幸先生の『時は静かに過ぎる』、橘川琢さんの『死の花』、田中修一さんの『雨の午後/蜚』を合わせていきました。

帰宅して、プログラム作りにかからなければと思っています。印刷などをお願いする宮﨑文香さんに、明日、東京音大の練習室に来てもらうことにしました。これで、明日の夜までには絶対に、印刷用の原稿を作らなければならなくなりました。

2009年12月1日火曜日

「トロッタ通信 10-23」

もとに戻りましょう。今井重幸先生の『時は静かに過ぎる』について、締めくくります。

先生のお言葉です。


「今回の曲は、作品のドラマ性を意識して書きました。紀光郎さんがアポリネールの詩をもとに構成されましたが、その詩句に合うメロディをつけています。不倫の現場に踏み込まれ、追いつめられた男が壁の中に消えるという、奇想天外ですが、わかりやすい話ともいえるので、音楽もまた、そのようなメロディ、リズムになっています。作曲家とは、作品の理念や意図、演出効果を考え、また起承転結やストーリーに沿って書かなければいけません」


アポリネールの作品『獄中歌-ラ・サンテ刑務所にて』に、「時は静かに過ぎる」という一節があります。

同じく『病める秋』に、「哀れな秋よ」。

さらに『狩の角笛』には、「思い出は狩の角笛」「風のなかに音は消えてゆく」があります。

探せばまだまだあるのでしょう。いずれも、今井先生の曲に生かされています。


『時は静かに過ぎる』の練習が続いています。根岸一郎さんが歌い、赤羽佐東子さんが歌っています。楽器の方々によって、音楽の全体が見えてきました。一場のドラマを観る思いがいたします。このような曲は、あってもよかったのに、かつてトロッタにありませんでした。オペラでもない。歌曲でもない。芝居でもないミュージカルでもない。もちろん器楽曲でもない。っしかし、そのすべての要素を持っている音楽といえるかもしれません。今井重幸先生とは、純粋性という、近代の毒に冒されてしまう以前の精神をお持ちなのでしょうか。

「10へ」;33

この記事は、12月1日(火)に関するものです。

夜は18時から、二期会スタジオで合わせ。橘川琢さんの『死の花』、今井重幸先生の『時は静かに過ぎる』、田中修一さんの『雨の午後/蜚』など。打楽器の内藤修央さんが初めて参加してくださいました。

その日の記事は、その日に書かなければいけないと思います。昼間はただただ忙しく、忙しさのまま夜に入りましたが、昼間に何があったか、ほとんど覚えていません。おそらく、トロッタのスケジュール作りや、仕事など、していたのだと思います。

服部かつゆきさんに電話をして、当日の録画について打ち合わせました。