2012年3月9日金曜日

トロッタ日記120224-0308

田中修一氏より『MOVEMENT』のための詩の依頼あり。当初は新シリーズの詩にするつもりが、やはり『MOVEMENT』で行きたいということ。東京音大でチェロのAさんに会う。演奏者が確定せず、最終決定を引っ張り過ぎた感があるが時間は取り戻せない。これから進めていく。Aさんを最後に、演奏者は全員、全曲について揃ったと思う。滞っていた時期のトロッタ日記を、以下に書く。

2月24日(金)、FIGARO本紹介ページの仕事を降ろされるので激しく動揺。仕事をしなければ、トロッタはできない。お金はあってあり過ぎることはまったくない。

2月25日(土)、押し入れから更科源蔵氏未亡人、千恵さんの手紙が現われる。伊福部昭先生の追悼演奏会で、私が更科氏の詩を朗読したことへの礼状。2006年4月23日付。繰り返し語っているが、トロッタは、このあたりから構想され、始まっている。第1回演奏会の10か月前。秋葉原のカラオケ館で、清道洋一氏『革命幻想歌2』練習。演奏の舞台は日本音楽舞踊会議であり、トロッタではないが、私にとってはすべてトロッタにつながっている。

2月26日(日)、トロッタの準備、できず。

2月27日(月)、造形作家の扇田克也氏、陶芸の金憲鎬(キム・ホノ)氏から、それぞれ個展の案内が届く。扇田氏は前回を含め、何度かトロッタに足を運んでくださった。金憲鎬氏は橘川氏の個展と名古屋での演奏に足を運んでくださった。扇田、金両氏を含め、どなたとも、知っているだけの関係に終わりたくない。知り合っているだけでも奇跡だが、人の存在に、常に触発される自分でありたい。それがトロッタに生かされればいい。

2月28日(火)、トロッタ15に参加してくださるヴィオラのHさんと、東京音大で会った。甲田潤氏が指導する女声合唱団コール・ジューンのMさんより、甲田氏が夏に指揮する伊福部昭先生の『交響頌偈 釈迦』合唱練習のスケジュールが送られて来る。『釈迦』も歌の曲であり、伊福部先生のことを考える機会として、できれば参加したいが先立つものが……。

2月29日(水)、橘川琢氏より、日本音楽舞踊会議演奏会で演奏する『叙情組曲《日本の小径》補遺より「春告花・三景」』の楽譜を明日の夜、発送するとの連絡あり。今日は歌のレッスン。ロルカ採譜の“ZORONGO”。一応、歌ったが、詩についての理解が全然追いついていない。メゾソプラノ松本満紀子さんより、私がデザインした、第三回グループえん演奏会のチラシとチケットが届いたと連絡をいただく。松本さんはトロッタ15で、田中隆司さん作曲の『寒戸の婆』を歌う。テキストは柳田國男の『遠野物語』。田中氏ならではの意欲作である。

3月1日(木)、トロッタ15全詩解説として、過去6曲になる田中修一氏『MOVEMENT』シリーズの一覧を作成。併せて、全曲の解説を【付記】として書く(手直しあり)。橘川琢氏と会って楽譜をもらう。深夜に阿佐ヶ谷まで来ていただいたが、全曲ではなかった。3分の1曲のみ。

3月2日(金)、西川直美さん(sop.)、野田晶子さん(pf.)、河内春香さん(pf.)の演奏会に、上野の旧・東京音楽学校奏楽堂へ。河内さんが尾高尚忠氏の『日本組曲』、野田さんが伊福部先生の『ピアノ組曲/盆踊』を弾く。伊福部先生の曲も“日本組曲”と命名されたもの。同世代の作曲家によってそれぞれの“日本組曲”が書かれたことに、明らかな理由、共通点する思潮のようなものはあったのか?尾高氏は1911年生まれ、伊福部先生は1914年生まれである。

3月3日(土)、一度は売った『ネヴォの記 1930年代・札幌―文化運動の回想』(佐藤八郎著・編)を、インターネットで古書店に注文。ネヴォは、かつて札幌にあった、伊福部昭先生行きつけの店だった。早坂文雄、三浦淳史といった友人と日参。名曲のレコードを聴き続けたという。『ネヴォの記』にも、伊福部先生らの名前が記されている。伊福部先生について、改めて書きたいという気持ちが起こっている(「ギターとランプ」にも、本当は、伊福部先生のギター曲について書かなければならないと思う。しかし、もう作曲家にインタビューできない)。

3月4日(日)、田中修一氏の『亂譜 海猫』の詩が最終的な形になってゆく変化を並べた画像を作成。詩の変遷に大きく三段階ある。田中修一氏に送った。秋葉原のカラオケ館にて、清道洋一氏『革命幻想歌2』の練習。清道氏、堀江麗奈さんと。ギターの萩野谷英成さんは来られなかった。

3月5日(月)、「詩の通信VI」13号から16号までを作成。1か月半も発行および発送が滞った。トロッタ15全詩解説として、田中修一氏の4回目をアップ。盛岡の詩人、岩崎美弥子さんから『海猫』の資料にと提供された、震災後の廃墟で鹿踊りが舞われている岩手日報の写真入り新聞記事も載せた。

3月6日(火)、「詩の通信VI」13号から16号までを発送。小島遼子さんとは別に、新たなチェリストを探すことになる。曲数の関係で、どうしても二人必要だ。明日のレッスンのため、ロルカ採譜「lLos pelegrintos」の歌詞を楽譜に書きこんでゆく。これが一苦労。

3月7日(水)、歌のレッスン。「Los pelegrintos」。初めての曲は、強弱などつけられたものではない。すべて力が入ってしまう。ギタリスト鎌田慶昭氏のアルバム「セリエ・アメリカーナ~南米ギター作品集」をディスクユニオンで購入。中古がさらに割引で910円。鎌田慶昭氏のアルバムは、所持するCDが傷んで音が出なくなったので買い直したのである。田中修一氏と連絡を取り合い、新曲の楽譜を送ってもらう相談。次回の「ギターとランプ」のために必要。次も萩原朔太郎と田中修一氏について書く予定。『ネヴォの記』到着する。

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