トロッタ9は、少しずつ、進んでいます。デザイナーの小松史明さんから、仮チラシが送られてきました。これに合わせて、トロッタのサイトを更新いたしました。前回にならって「本番までの通信」を、本番直前まで発行してまいります。よろしくお願いします。
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トロッタ9 本番までの通信;1(7.18)
鉄と
コンクリートの街に
潮騒を聞く
砂浜があった
街角の向こうに
夜明けの海が見える
それは青
深くて濃い
生命(いのち)を今も
育んでいる
何もかも信じていた
あれはまだ
幼い少女のころ
光と戯れる
私
空と海の境界線に
生きていた
大谷歩・作曲 木部与巴仁・詩
「アルバ/理想の海」より
7月17日(金)、小松史明さんから、トロッタ9の仮チラシが送られてきました。あくまで仮チラシであり、本チラシではありません。曲や曲順を含む文章はもちろん、小松さんのデザインも変更される可能性があります。判型も、今は小さいのです。しかし、いつもながらに力強く美しいチラシが姿を現しました。
仮チラシは、当面、トロッタのメンバーが出演する演奏会や、早めに配布できる場所などの告知に使われます。断り書きに、「曲と曲順などは変更される予定です」とあります。ほぼ、仮チラシのとおりに演奏される予定ですが、いずれは本チラシを御手元に置いていただければと思います。お目にとめられました方は、ぜひ御連絡をください。本チラシを進呈いたします。
「ご挨拶」にありますとおり、トロッタ9はヤマハ エレクトーンシティ渋谷を会場とし、エレクトーンを用いた曲を演奏いたします。私どもにとって、未知の要素が非常に多い会です。あるいは、もしや、という不安が頭をもたげますし、予想できないので不安すら抱かない点があると思います。しかしトロッタは、常に不確実性を抱えて進んでまいりました。作曲家が、新曲を書く。このこと自体、すでに不確実ではないでしょうか。私にしても、詩が書けるかどうかわからない、書き出してみなければどうなるかわからない。不確実極まりない生活です。
上に掲げましたのは、大谷歩さんが作曲してくださいます『アルバ/理想の海』の始まりです。“私には理想の海があります”という、大谷さんの言葉を頼りに、一篇を書きました。私は大谷さんではないので、これは私の海です。大谷さんと交感をしながら、詩を創ろうと思いました。真の交感は、初演の舞台で、他の演奏者、お客さまを交えて、なされます。
お聴きいただく皆様どなたの心にも、海の姿があることでしょう。海のない国にお生まれになった方には、山でもよく、川でもよく、森でも一本の木でもかまいません。人知を超えた大きなもの、目に見える大小ではなく、小さくてもそれ自体で完成され、宇宙を持ったものにひかれ、そのことを書きたいと思いました。常に、書きたいと思っています。
チラシの表面に、やもりの姿が見えますか? 小松さんからチラシが送られてきた時、ちょうど、本物のやもりが、窓枠を乗り越えて部屋に入ってきました。ぴぴぴっと、やもりは私に呼びかけました。私たちにとっては、幸運のやもりだと思います。他力にすがるつもりはなくても、やもりが交感をしようと、やってきたくらいのことは思っていいでしょう。小松さんの絵にいるやもりが、本当に鳴きながら現われたのですから。彼か彼女は、何をいいたかったのか? そのことを考えながら、9月27日(日)、トロッタ9の本番までを過ごします。
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