*トロッタ12の当日プログラムを作り始めました。いつも2、3日前に作っています。それを思えば、変化しています。しかし時間がかかって、なかなかできません。
堀井友徳さんのために『北都七星』を書くまで、ふたつほど、花の詩を提案させていただきました。「ほら、もうすぐ花が咲く」と、「花だより」です。どちらも、「詩の通信IV〜はなものがたり」に書いた作品です。堀井さんに差し上げているので、いつか、歌になるかもしれません。このころの心境が、花に近寄ったものだったので、花の詩になったのです。後に『北都七星』が生まれます。花はもちろんいいとして、今となっては、花から離れた内容を選んでいただいてよかったと思います。花の詩は「詩の通信IV」で発表したものですが、『北都七星』はまったくの未発表詩ですから、新鮮さという意味では、こちらの方が優ります。しかし、いずれは書いていただけるものと思っています。
まず、2月4日に提案しました「ほら、もうすぐ花が咲く」です。註にあるように、初めから、歌われる詩として構想しています。やはり私は、音楽としての詩を、書こうとしています。
ほら、もうすぐ花が咲く
*下段の詩は歌われることが望ましい
(上段)
花を生けたくて
赤い花を買ったのはいいが
生ける時間がなくて
枯らしてしまった
ばかだなと思う
たった一人で
埃(ほこり)だらけの花を見ている
花を愛したくて
白い花を買ったのはいいが
愛する余裕がなくて
散らしてしまった
惨めだと思う
たった一人で
皺だらけの花を見ている
花を自慢したくて
青い花を買ったのはいいが
自慢する相手がなくて
捨ててしまった
悲しいと思う
たった一人で
ごみ箱の花を見ている
花を飾りたくて
黄色の花を買ったのはいいが
飾る場所がなくて
焼いてしまった
寂しいと思う
たった一人で
燃える花を見ている
(下段)
春になるまで
見守ってあげよう
ぬくもりと陽ざしが誘う
花の季節を
ほころんでゆく
あなたの口元
硬いつぼみがそっと
開いてゆくように
春になるまで
そばにいてあげよう
風の息すらあたたかい
花の季節を
さみしくなんかない
教えてあげる
一人じゃないと
あなたのそばには
きっと誰かいる
咲く花を見て御覧
続いて、2月8日にすすめました、「花だより」です。これは「詩の通信IV」に発表するより早く、堀井さんに送りました。お読みいただいて、すぐおわかりになるように、明らかに北の町が舞台です。早春の小樽で見た、黒い土から雪解けの水が流れ出る光景は、先に書いたように、『たびだち』に生かされました。
花だより
あの人はいないけれど
春になれば
花のたよりが聞こえてくる
咲いたよ 咲いた
あなたの好きな
青い花が
音もたてずに流れている
雪解けの水
しゃがんだまま
ふたりでじっと見ていたね
春は
北の町にも忘れずにやって来る
ひとりで聞いた
花のたより
あの人が送ってくれた
花のたより
もうずっとひとりで
聞いている
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