2009年5月25日月曜日

詩と音楽.4 『蛇』

20数年前、一橋大学構内で、学生が蛇を殺す場面に遭遇しました。足で踏み殺したのです。ショックを受けました。蛇のため、身を挺して守ろうとしなかった自分にもショックを受けました。しかもその学生は、にやにやと笑いながら殺したのです。殺す哀しさはあるでしょう。私たちは他者の生命を奪いながら生きています。しかし、笑いながら殺すなど、許されることではありません。その思いが、詩になりました。「詩の通信」の最終号、2006年10月27日号の発表です。詩は、上段と下段に分かれています。上段は、踏み殺された蛇の独白です。下段は、「へびじゃ へびじゃ」「ふみつぶせ ふみつぶせ」などの言葉が、呪文のように繰り返されます。コーラスになると思って書きました。書いた時は、どなたが曲にしてくれるあてもなかったのですが、清道洋一さんが名乗り出てくださいました。しかも清道さんは、音楽にするため、「万葉集」の歌を引用し、ソプラノとアルトの二重唱にしました。『オリーブが実を結ぶころ』とは別の形で、赤羽佐東子さんと笠原千恵美さんが共演します。楽器の編成は、トロッタ8で最も大きなものとなりました。楽しみです。

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