2010年1月13日水曜日

「トロッタ通信 11-2」

(今夜中にアップします。お待ちください。/1月18日付けでアップしました)

『伊福部昭 音楽家の誕生』に結びついた、伊福部先生への取材を始めた時、私は更科源蔵を知りませんでした。1983年だったと思います。詩と音楽というテーマなど、私の頭にはかけらもありませんでした。伊福部昭ファンであるというだけの理由で、取材を始めたのです。何の予備知識もないまま始めた。伊福部先生についての資料が、今ほどなかったとはいえ、無鉄砲もいいところです。しかし、それが今のトロッタに結びつき、作曲家や演奏家の方々との結びつきにつながっているのですから、人生の不思議さを思わざるを得ません。

ただ、更科源蔵の周辺については、知ろうとしていました。間接的に知っていました。それは、伊藤整が実名を生かしながら書いた小説『若い詩人の肖像』を通してです。高校一年か二年の時、今井正監督の映画『小林多喜二』を観ました。そこに、『若い詩人の肖像』の一場面を映像化する形で、多喜二が登場します。小樽中学生だった、伊藤整少年の目を通した、多喜二少年が描かれています。伊藤整は1905年生まれ。多喜二は1903年生まれ。伊福部先生は1914年生まれですから、ふたりは約10歳の年長です。小説『若い詩人の肖像』や映画『小林多喜二』には、北海道が描かれます。それは伊福部先生が生活していたよりも10年前の風景なのです。そして『若い詩人の肖像』に、更科源蔵が登場します。更科は、1904年生まれ。伊藤整、小林多喜二と、同じ世代です。

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